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幼児教育ジジの連載記事、2回目です。
9〜10ヶ月になってくると、赤ちゃんの周囲との関わり方には、変化が出てきます。
外の世界に対する赤ちゃんの見方(赤ちゃんから見た外の世界への視点)ができてくるのです。
これを、ウィニコットは「ジブンとジブンでないもの」といっていますが、
これは外の世界と赤ちゃんの内的世界が分離することを表現した言葉です。
また、岡本夏木は「静観対象」という言葉を使っており、それぞれの物の違いが
『感じられる』だけではなく、『認識されること』を表しています。
自我が芽生え、ダダコネがはじまってきます。
はじめは赤ちゃんが何を要求しているのか分からなくて、
お母さんがうろたえてしまうことが多くなってきます。
テーブルのスプーンをわざと落として、お母さんが拾ってくれることを面白がったりします。
感覚情入力と運動出力の間に「・・・?」という‘間’ができ、面白いことを発見します。
両手に持った積み木を口に持っていくのではなく、パチパチと叩いて歓びます。
そこで起こるできごとが面白いのです。
「いないいないばぁ」の遊びでも受け身ではなく、ジブンから参加することもできるようになります。
タオルで「イナイ、イナイ、・・・」と顔を隠したら、赤ちゃんが取ってくれるでしょう。
おもちゃや日常の生活品に関心を持って、次から次に引っ張り出したりします。
おもちゃを興味深そうに見つめる☆くんは15ヶ月です。
今度は、カメラに興味津々・・・?
以前のような泣いたりぐずったりのサインではなく、
シグナル=signal=を使って要求を伝えることができるようになってきます。
「とって・・・」、「ちょうだい・・・」、「バイバイ・・・」、「抱っこして・・・」
こうした能動的ともいえる行動の変化は、何を意味しているのでしょうか。
赤ちゃんはシグナルを使って相手の人と双方向コミュニケーションができるようになってきます。
感覚情報と運動出力の間に「おもしろい」という感情が流れ込み、
そこに「・・・ん?」という意味がうまれてきます。
赤ちゃんが両手を差し出して「抱っこ・・・」というシグナルを出したとき、
お母さんは「いいわよ・・・」と答えることもできますし、ちょっとだけ意地悪をして
「どうしようかな・・・」と微笑み返すこともできます。
双方向コミュニケーションとは、お互いのやりとりのことですが、
赤ちゃんに「外の世界への視点」ができて初めて生まれるものです。
人間関係という言葉がありますが、その関係が生まれるといっても良いでしょう。
子どもが周囲と関わりを持つというとき、それぞれの人との関わり方によって
『よろこび』や『かなしみ』が感じられてきます。
子どもが周囲の人々と歓びをもって接するか、
期待が裏切られて失望の多い印象をもってしまうのか、とても大切な問題です。
もう一方に「物や文化」としての周囲があって、
赤ちゃんはこれらの見聞きするものに関心を持ってきます。
指差しは「あれは、なあに?」というシグナルです。
「あれはワンワンよ。」、「あれはブッブーね。」と、ガイドさんになって欲しいと思います。
興味深いのは、ノンバーバル領域(非言語領域)での問題解決行動が見られることです。
チンパンジーの実験では、天井につるされたバナナを、箱を利用して取ったり、手の届かない
ところにあるバナナを、傘の柄に引っかけて引き寄せたりできることが、報告されています。
赤ちゃんも同じように、おもちゃや面白いと感じたものに強い関心を持って、
問題を解決するために行動していくことができるようになります。