3月28〜29日は、リボンクラブの合同お泊り会でした。
参加した子どもたちは、大阪池田ルームから1名、荒尾ルームから5名、熊本帯山ルーム
から10名の合計16名です。それと、かって帯山ルームに所属していた○ちゃんが、大阪池
田ルームから参加してくれました。今年から4年生だそうです。子どもたちのプレ・リーダー
として役割を果たしていました。
サポートするスタッフは、荒尾ルームから参加した青年の☆くんを含めて8名でした。
二日間の子どもたちの様子は、荒尾ルームのレオさんと池田ルームのジェリーさんがブログ
に掲載していますのでご覧になってみてください。
お天気に恵まれたことも幸いして、清々しい環境の中で元気にあそぶ子どもたちの様子が写真
で紹介されています。
子どもたちの最後の授業は「手作りの泥絵の具で木を描く」ことでした。これはボッスさん
が2カ月ほど前から準備していましたが、はじめての試みだったので当日子どもたちが「木を
描く」ことができるかどうかちょっと不安でもありました。
これは、あそびではなく「最後の授業」です。スタッフの指示に従って、手順を踏んで行動
しなければいけません。ジブンたちで泥絵の具を作ったり、べニア板にヤスリをかけて表面を
滑らかにしてペンキを塗ってキャンバスを作ります。
翌日、木々の周辺を散策して政策にかかりました。泥絵の具の魅惑に負けて誰かがあそび始
めるのではないか?と心配していましたが、どの子も整然と制作に取り組んでいく様子には驚
きました。
制作された絵を石垣に並べて見たのですが、「ちょっといい感じ」という出来栄えだったと
思います。
「あそぶこと」これはリボンクラブのテーマですが、子どもたちはあそぶことを通してジブ
ンの「身体やこころ」を創っていきます。それぞれの子どもの顔や声がひとり1人違うように
身体やこころも違います。子どもたちはジブンで「自分の身体やこころ」を創っていかなけれ
ばなりません。それは誰も代わってあげることはできないことです。それがおおよそですが、
7歳までの子どもの仕事です。ですから「あそぶこと」は真剣な行為ですし、実際の子どもた
ちは真剣にあそびます。もし、ふざけてあそぶ子どもがいるとしたら、本当にしたいことが見
つけられないでいるのかもしれません。
それに比べると「授業」は少し違ってきます。授業とは「ジブンの身体とこころ」を「社会
的テーマにそって適応させることができるか?」という新しい課題が加わってきます。そうい
う意味では、今回の「手作りの泥絵具で木を描く」というテーマによく従っていたと思いまし
た。どの絵にも一生懸命に取り組んだ様子が見られると思います。授業の場合は真剣というよ
り、緊張してという感じです。ですから絵を描き終えると「あそんでいい?」となりますね。
近年、子どものあそび環境が劣化しています。小学生の子どもたちが数人の群れを作ってあ
そんでいるところを見ることもありません。これは、漁村や山村の子どもたちも同様です。
「あそばなくていいのかなぁ〜」少し心配です。小学生のころは、親や先生のいない第3世界
であそぶ時代です。怪我や事故のリスクもあるのですが、子どもが自立していく上で必要な経
験だとは思うのですが・・・。
20年ほど前に始めたリボンクラブのころと比べても、あそぶ為の野外の環境は限りなく少
なくなってきました。かっては村落のあちこちを探し回れば自然に近い山川の環境が残ってい
たのですが、今はほとんどが整備された公園になっています。
私たちは今、「子どもがあそばないことで、失ってゆくものは何だろうか?」問い直して見
なければならないところに来ているように思いました。
子どもの発達は、ジョージ・ワシントン大学の精神科医・行動科学・小児科学教授のスタン
レー・グリーンスパンの「子どもが周辺と関わり、コミニケーション能力を伸ばし、思考力を
育むために・・」という言葉に端的の表現されています。
これは「自閉症のDIR治療プログラム」(創元社)に出てくる言葉ですが、このプログラム
はおおむね赤ちゃんから7歳までの子どもたちの定型発達を基準にしています。定型発達とは
「正常な子どもの発達の軌道」のことです。
少し脱線してきましたが、今回の「合同お泊り会」を機械にして、リボンクラブについて振
り返ってみましょう。
「リボンクラブは何をするところか?」これについて、私たちは明確に説明できないでいま
した。私たちに言えたことは「赤ちゃんや子どもは能動的に環境に関わっている」ということ
だけです。にもかかわらず、多くの方々に長年にわたり指示して頂けたことは何よりもの励ま
しでした。
この機会に「子どもについて学んできたこと」をもう少し重ねて報告します。
赤ちゃんが「周辺の環境と能動的に関わろうとすること」これはほぼ間違いありません。赤ち
ゃんは母親と関わりながら成長していきますし、母親も赤ちゃんと関わることで成長していき
ます。これがパーソナリティーの補完性です。子育てしながら母親も母親としてのパーソナリ
ティーを成熟させていくことですね。
それから、発達には順次性があるということです。これは70年前のピアジェの研究からも分
かっていたことですが、競争社会の原理を乳幼児期の子どもにまで持ち込んできたことで、私
たちは科学的知識の良い部分を正しく受け継いでいなかったのかも知れません。
赤ちゃんから生後6ケ月までを仰向けの時代、6ヶ月から12ヶ月くらいまでをうつ伏せの
時代、1歳から2歳までを直立歩行の時代とし考えた時、この時代で母親との関係が最も重要
になります。これはボールビーのアタッチメント理論でも証明されていますが、この期間の質
的内容が、その後の人生に様々な影響を及ぼしていくということでした。
「イヤイヤ期」という言葉で表現される、2歳から4歳にかけてのこれらの行動は、子育て
の仕方とは関係なく、普通の子どもの表現形式です。歩くこととおしゃべりすることが子ども
の目標です。この時期のおもちゃは「言葉」の役割をしますので、ある程度のごっこあそびが
できるように配慮して、時間が許せばいっしょにあそんであげてください。言葉が急速に発達
する時期です。
4歳からは、工夫したり考えたりする時期に入ります。野外あそびや、子どもが関心を持っ
たことに耳を傾けていただけたらいいのですが・・・。このころに不用意に習い事をさせると
思わぬリスクがかかることがあります。5歳後半から6歳にかけて「課題のあるあそび」を避
ける傾向がでてくることがあります。
以上が簡単な報告ですが、リボンクラブはそれぞれの子どもの発達の軌道に従って関わるこ
とを主旨にしています。ですから将来のためにという理由で、大人の思惑を子どもに求めるこ
とは控えるようにして、適切な環境について考えるようにしています。それは、「正常な発達
の軌道は子ども自身の中に用意されている」からです。
この度の二日間の子どもたちの様子を見て感じた事は「立派な6歳児に成長したね」という
ことでした。お昼の活動はもとよりですが、食事の用意や手伝いも良くしていました。何より
も元気に遊ぶ姿を見せてくれたことです。ここまで来るのにはさまざまな、デキゴトもあった
と思いますますが、ご両親の養育の賜物だと思います。
最後になりましたが、二日目の草スキーで怪我をさせてしまいました。三人で一緒に滑って
いて、ひとりの子どもが鎖骨を折ってしまいました。
改めて、深くお詫びいたします。
ジジ